ドイツベーカリー116年の歴史に幕 老舗また消える

 マンハッタン区1番街87丁目にあるドイツベーカリー、グレーザーズ・ベイク・ショップが7月1日、116年の歴史に幕を閉じる。
 3代目パン職人のハーブ・グレーザーさん(65)と兄のジョンさん(67)の祖父で、ドイツ移民のパン職人、ジョン・ヘルベルトさんが1902年4月2日に開業。ヘルベルトさん急死に伴い18歳で後を継いだ父が1999年に亡くなってからは、ハーブさんとジョンさん2人で店を切り盛りしてきた。ペイストリーやクッキーのレシピは100年にわたりグレーザー家に伝わるもの。食べられるのはこれで最後だ。2人は閉店の理由を「元気なうちに第2の人生を楽しみたい」からと地元メディアに語っている。店が入るビルを売って、ハーブさんの家があるアップステートのニューパルツに引っ越すという。
 市内では老舗飲食店が相次いで閉店。その多くは家賃や人件費の高騰が原因だという。

閉店は7月1日午後3時。閉店を惜しむニューヨーカーが最後のクッキーやデニッシュを買おうと長蛇の列を作り、6月29日は3時間待ち。店内にはいつもオペラが流れていた=29日午後撮影 (photo: Asami Kato / 本紙)

閉店は7月1日午後3時。閉店を惜しむニューヨーカーが最後のクッキーやデニッシュを買おうと長蛇の列を作り、6月29日は3時間待ち。店内にはいつもオペラが流れていた=29日午後撮影 (photo: Asami Kato / 本紙)