移民審問、テレビ会議のみに 弁護士らと話す機会なし

 【6月29日付ウォール・ストリート・ジャーナル】マンハッタン区の移民裁判所は6月28日から、収容施設に拘束された移民の法廷審問をテレビ会議のみとする決定を下した。対面による通常の審問が中止となったのは、強制送還に反対する抗議者が同区の移民税関捜査局(ICE)の駐車場入口をふさぎ、抗議活動を行ったことが原因。ICEは「安全上、問題がある」と懸念を示していた。
 テレビ会議による審問では、移民は将来の審問のために施設にとどまるか本国送還を受け入れるかの選択肢のみが与えられる。ニューヨーク移民家族結束プロジェクト(NYIFUP)の弁護士は、「以前なら審問前に移民と直接会い、助言や意思決定のために環境を整えることができた」と同決定に反対。またニューヨーク自由人権協会(NYCLU)も「移民に弁護士と話す機会を与えず、重大な決断を下す判事と対面できないのは極めて不公平だ」と批判している。
 国境で逮捕された移民の多くは亡命申請が移民裁判所で審理されるまでの間、収容施設に拘束されるが、一般的なケースで認定まで2年以上かかるという。現在、未処分のケースが6年前の2倍に相当する約70万件に達し、全米の334人の移民裁判所判事は一度に平均2000件を処理している計算になる。