【10日付ニューヨークタイムズ】2001年の米同時多発テロ(9.11)発生時、第一陣として現場で救助活動に当たったニューヨーク市消防局(FDNY)のチーフ、ジョー・フェイファーさん(62)が9月12日に引退することを発表した。第一陣の隊員の中で、今でも現場のトップであるチーフを務めるのはフェイファーさんのみ。FDNYにとって世代交代の区切りとなる。
クイーンズ区出身、勤続37年のフェイファーさん。先月にはフランス当局の人質解放部隊と共にパリのエッフェル塔を登る訓練にも参加するなど、まだ数年は現役を続行するとみられていた。
テロ事件当時は現場近くのローワーマンハッタン署に勤務。状況が分かると現場に急行し、ノースタワーのロビーで隊員らに指示を出した。補佐官として現場に向かっていた弟のケビンさんは、道の途中で帰らぬ人となった。
その後はテロ・災害準備センターの設立に貢献。報道関係者らと手を組み、チーフが報道番組のヘリコプターに乗り込み上空から指令を出すという新たな戦略も導入した。
引退後はコロンビア大学などで災害現場時のリーダーシップと災害への準備について教える予定だという。
「引退を決めて緊張がほどけたよ」とフェイファーさん。最近、生まれ変わったワールド・トレード・センターの展望台から写真撮影をしたという。「ブルックリン橋を探していたんだ。過去を振り返っていたのではなく」