第14回 とけ&まぶと並木洋子さん

 本コーナーのペット写真募集に投稿した並木洋子さんは、ポートレートなどの撮影と、ビンテージ雑貨、古着をリメイクした犬用の洋服を販売するオンラインショップ、トケズクローゼット(http://tokehscloset.wixsite.com/newyork)の代表。とけとまぶが着ている振袖はもちろん並木さんお手製です。今ではすっかり「モデル業」が板についた2匹との出会いから聞きました。

並木洋子さん:トケズクローゼット代表。 クイーンズ区在住、ニューヨーク在住10年

並木洋子さん:トケズクローゼット代表。
クイーンズ区在住、ニューヨーク在住10年

—一緒に暮らし始めたきっかけは?
 インターネットのレスキューグループを介して出会いました。2匹ともオクラホマ州の農場出身です。

—それぞれどんな性格ですか?
 とけは人が好きで犬嫌い。お散歩中に他のワンちゃんがしっぽを振って近づいて来ても、「ウ〜」って威嚇するんです。これじゃあ先が思いやられるなと思って、犬嫌いを治そうと、まぶをアダプトしました。まぶは順応性が高く、人にも犬にもフレンドリー。最初はとけがヤキモチを焼くんじゃないかな、2匹でけんかしないかな、と心配でした。

—どうでしたか?
 予想通り、とけが威嚇して仲良くなれず(泣)。でも、まぶのめげない性格のおかげで、とけもずいぶん慣れてきて、今では仲良くしています(笑)。

—2匹が着ている振袖、かわいいですね。
 着物も帯も奈良県にある和服生地専門店から取り寄せています。夏は木綿生地で浴衣も作ります。直接会い、またはEメールでワンちゃんの寸法や体格を聞いて、1着ずつ手作りしています。飼い主さんが着ていた古着をリメイクすることもあります。

—並木さんはペットの写真を撮るのもお上手ですね。スマホで写真を撮るときのコツは?
 基本的なしつけができていれば、とても楽ですよね。散歩などを済ませ、ご飯をあげた後のまったりモードのときだと、協力的な気がします。彼らが喜ぶ言葉をかけ、お気に入りのおもちゃやおやつなどを使うと、目をキラキラさせて可愛い顔をしてくれます。でも無理強いするとカメラ嫌いになっちゃうので、手早く済ませるのがコツかな。うまく撮らせてくれたら思いっきり褒めてご褒美をあげると、次からも撮らせてくれますよ。

—最近、並木さんご夫妻に赤ちゃんが生まれたそうですが、赤ちゃんに対する反応は?
 赤ちゃんは2匹に対して全く無反応。怖がってる感じはありませんね。とけとまぶは、初めて赤ちゃんを自宅に連れて帰ったとき、しっぽをブンブン振ってお出迎えしてくれました。赤ちゃんがちょっとぐずると、自分たちのおもちゃ(犬用のぬいぐるみ)を持ってきて、「遊ぼうよ〜」と誘うような仕草も見せるようになりました。まるで小さなベビーシッターです(笑)。

—並木さんにとって、と2匹はどんな存在ですか?
 かけがえのない娘たちです。特にとけは私がニューヨークに引っ越してきてまだ2、3年のころから一緒にいるので、パートナーのような存在でもあります。赤ちゃんが産まれて、旦那が留守のときは、2匹が一緒に赤ちゃんの世話をしてくれているような感覚で日々を過ごしてます。

【 教えて!シンゴ先生 】

アニマルシェルター/動物病院のヒューメインソサエティー・オブ・ニューヨークで獣医師として活躍する添田晋吾先生にペットの健康について聞きました。

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Q、ペットの甲状腺の病気について教えてください。
A、甲状腺は頸部に位置し、体の代謝を維持するためのホルモンを分泌する内分泌器官です。このホルモン分泌が低下すれば代謝が低下し、それに伴い症状が現れます。また、異常に増加した場合も代謝が過剰になり、それに伴った症状が現れます。
 犬と猫ではそれぞれ違う病態を示すことが多く、犬は甲状腺機能低下症、猫は甲状腺機能亢進(こうしん)症を多く発症します。
 どちらの病態も中高齢の犬猫に発症しやすいです。まず、犬の甲状腺機能低下症ですが、症状としては元気がない、あまり食べていないのに体重が増える、体幹部の両側の毛が対称的に抜けるなどが挙げられます。皮膚が黒ずみ肥厚するのもこの病気の特徴です。症状がみられたら、血液検査をして診断します。ホルモン剤を1日2回飲ませる治療によって、病態をコントロールします。この薬は生涯飲ませることになります。
 猫の甲状腺機能亢進症の症状は、食欲旺盛にもかかわらず体重が減る、気性が荒くなる、慢性的な嘔吐や下痢を起こすなどがあります。診断は血液検査でできます。飲み薬または放射線ヨウ素による治療があります。飲み薬の場合、一生飲み続けることになりますが、放射線ヨウ素の治療を行うと90%以上の確率で、症状が薬なしでコントロールできます。手術で甲状腺を摘出することもできますが、現在はあまり行われていません。
 どちらの病気も早期に発見し治療を始めれば、合併症を最小限にとどめることができます。特に猫の場合は血圧や心臓の機能に影響を与えるので、異変に気付いたら、すぐに動物病院で診察を受けてください。

添田晋吾
1995年山口大学農学部獣医学科卒業。2000年に来米し07年に米国獣医師免許を取得。ヒューメインソサエティー・オブ・ニューヨークに勤務する傍ら、東洋と西洋の医学を併用し、老犬のペインコントロールやQOLの向上を目的とした獣医療にも取り組む。