ニューヨーク市を代表するタブロイド紙、ニューヨーク・デイリー・ニュースは23日、編集部の約半数の人員を削減した。各メディアが報じた。ジム・リッチ編集長などが解雇されたが、何人が失職したかは不明。
同紙は昨年9月、米新聞大手トロンクが、債務を肩代わりし1ドルで買収していた。今後は電子版に特化し、犯罪や市民の権利などに関する速報を中心に配信していくという。1919年創刊、ピュリツァー賞を11回受賞している。
デジタル時代対応に遅れ トロンク幹部明かす
【23日付ニューヨークタイムズ】トロンク幹部のグラント・ウィットモア氏は23日朝、マンハッタン区ローワーマンハッタンのデイリーニュースの編集部を訪れ、大量解雇を正式に内示した。編集長のリッチ氏の他、トロンクによる同紙の積極的な構造改革の中心となっていた編集部幹部のクリステン・リー氏も解雇された。
トロンクは同日、編集部の紙媒体制作チームに対し書簡を送り、タブロイド紙からデジタル時代に合う媒体にできるよう努力をしてきたことを明かした。書簡には「構造改革を進めてきたが、十分には進まなかった」と書かれていたという。
編集部員のうち何人かは先週から社を去る準備を始めていたという。編集長のリッチ氏もまた、23日の早朝「もしあなたが民主主義を嫌い、地方自治体の行政機関が監視されないままに暗闇の中で働くべきだと思うなら、きょうはあなたにとって良い日だ」とツイッターに皮肉を込め投稿していた。
ニューヨークのアンドリュー・クオモ州知事はトロンクに対し、州への通知も、支援要請もないまま大量解雇が行われたとして、再検討するよう求めた。バーバラ・アンダーウッド司法長官は「業界で最も優秀な記者たちを失った。彼らが活躍し続ける場所を与える、強力な地元新聞が必要」と述べた。