気になる経済【ビジネス】コカコーラ、新興ボディーアーマーに出資

08/20/2018

「ゲータレード」１強のスポーツ飲料業界に新風なるか
コカコーラ、新興ボディーアーマーに出資

　【14日付ウォール・ストリート・ジャーナル】今回の合意で、コカコーラはボディーアーマー第２位の株主となる。両社の幹部らによると、ボトラーとして全米で事業を展開するコカコーラは自社システムを使い、ボディーアーマー製品を各地に供給することでも合意。将来的にはボディーアーマーをコカコーラが完全所有する契約も盛り込まれた。

マイク・リポール氏（左）とコービー・ブライアント元選手。ボディーアーマーのフェイスブックより

ことば　ボトラー（bottler、bottling company）
清涼飲料水の濃縮原液を仕入れ、水で薄めて容器（ボトル）に入れ（＝瓶詰め、ボトリング）、最終製品を出荷、販売する会社。コカコーラやペプシなどの原液メーカーとは別会社のフランチャイズ形態をとることが多く、指定のエリア内で原液を元に製品を製造、販売する独占的なライセンスを得る。コカコーラが先駆的に始めたビジネス形態とされ、コカコーラ北米は2017年、全米に70近くの系列ボトラーが展開していると発表していた。

　ウェルズファーゴの分析によると、スポーツ飲料市場は「ゲータレード」が圧倒的な強さで支配。売上高は近年落ちているものの、80億ドルに及ぶ全米スポーツ飲料の売上高全体のうち４分の３近くを保持する。ボディーアーマーは昨年売上高を急増させたが全体のうち６％足らずで、２位のコカコーラ「パワーエイド」（17.5％）に大差をつけてシェア３位にとどまる。
　ボディーアーマーはＮＢＡのコービー・ブライアント元選手が資金援助する他、ＭＬＢロサンゼルス・エンゼルスのマイク・トラウト選手（27）、ＮＢＡヒューストン・ロケッツのジェームズ・ハーデン選手（28）など多くの若手スポーツ選手が支持を表明。砂糖含有量の少ない健康志向飲料として、スポーツ飲料業界への切り込みを図ってきた。同社製品は電解質を多く含み、水分補給に適している点では他社製品と変わらない。しかしココナッツ水を使うことで塩分を控え、カリウムを多く含有する、より「自然に近い」飲料を売りにする。「ゲータレード」が使う着色料や、「パワーエイド」が使う高果糖シロップは使用していない。
　ボディーアーマーは2011年にクイーンズ区で創業。今年の収益は４億ドルに上る見込みで、企業価値は10億から20億ドルと予想されている。同社の共同創業者兼会長で主要投資家でもあるマイク・リポール氏は今回の合意について、中国など海外での販路拡大の基盤になるとして歓迎。ウォール・ストリート・ジャーナルの取材に「私にとって、『ゲータレード』は（姿を消した）ブロックバスターのビデオレンタル店。ボディーアーマーは（勢いのある）ネットフリックスのようなもの。進化し続けなければ、この業界では生き残っていけない」と話した。
　コカコーラの北米事業責任者、ジム・ディンキンス氏は、完全所有に向けて出資する額は売り上げなどの業績によって決めるとしている。同社はボディーアーマー製品を「パワーエイド」より上位の「プレミアムドリンク」として売り出す方針。ディンキンス氏は「ウェルネス志向が波に乗ってきているのは明確」と述べていた。

ボディーアーマーのフェイスブックより

参考記事：[The Wall Street Journal] Coca-Cola Invests in BodyArmor as It Chases Gatorade,
[Coca-Cola Company] Coca-Cola to Acquire Minority Stake in BODYARMOR with Path to Ownership

気になる人事

ベンジャミン・スミスエールフランスＫＬＭ
最高経営責任者（ＣＥＯ）

　仏航空大手エールフランスの親会社、エールフランスＫＬＭは16日、最高経営責任者（ＣＥＯ）にエアカナダの最高執行責任者（ＣＯＯ）、ベンジャミン・スミス氏を指名した。９月30日に就任する。
　仏パリを拠点とするエールフランスの労働組合は今年５月、5.1％の賃上げを求めて一連のストライキを強行。労使交渉決裂で、同社前ＣＥＯのジャンマルク・ジャナイヤック氏が辞任に追い込まれる事態となった。2018年第１四半期（１月から３月）は２億6900万ユーロ（約351億円）の赤字を計上。今年通期の業績見通しも下方修正している。
　スミス氏はカナダのオンタリオ州にあるウエスタンオンタリオ大学で経済学士号を取得し1990年、研究の一環でオンタリオ航空の顧客セールス・サービス部門で働いた。92年には旅行販売会社を設立。99年まで同社を率いると同時にエアカナダの独立系コンサルタントとしても従事した。2002年３月にエアカナダに入社後、ネットワーク計画部門の上級ディレクターに就任、06年までに同部門と商業部門の最高責任者を務め、07年に常務役員に指名された。14年８月にエアカナダグループのＣＯＯに就任。販売、執行、顧客サービス部門を率い、運用上および財務上の経営戦略の舵を取った。
　ブリュノ・ル・メール仏経済・財務大臣とエリザベス・ボルヌ運輸大臣は「スミス氏はエールフランスＫＬＭの社会的信頼を再構築し、開発、競争力、国際競争における課題に対処するための変革を起こすことができると、全面的な信頼を置いている」との共同声明を発表した。