【16日付ウォール・ストリート・ジャーナル】映画監督、スパイク・リーさんが経営する広告代理店が2016年、ニューヨーク市警察(NYPD)に資金を提供するNYPD財団とコンサルタント契約を結び、約22万ドル(約2400万円)の報酬を受けていたことが同財団の納税申告書で判明した。かねてよりNYPDに批判的なリーさんに助言を求めたとして、同財団とリーさんに対し市民団体や警官組合から批判の声が挙がっている。
リーさんの代表作、「ドゥ・ザ・ライト・シング」(1989年)の一場面は、警官が逮捕にあたり違法の絞め技を使い容疑者が死亡した2014年のエリック・ガーナー事件を彷彿とさせるもので、リーさんは抗議運動「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命も大切だ=BLM)」にも参加していた。NYPDのベンジャミン・タッカー副本部長は、地域の治安維持活動に「批判的な人の意見も取り入れたかった」と説明。リーさんも声明文で「熟慮して契約した。対話も大切だ」と弁明している。
これに対しBLMの地区責任者、ホーク・ニューサムさんは「NYPDは(黒人にすり寄って)イメージを取り繕うより、解決策を見出すべき」と批判。NYPD巡査部長相互援助組合のエド・ムリンズ会長も「上層部の考えは現場警官との距離を広げるだけ」と苦言を呈した。