「事情聞かず逮捕は人権侵害」 心配して駆け寄った黒人男性が提訴

 【3日付ニューヨークタイムズ】事情を聞かずに逮捕したのは人権侵害だとして、マンハッタン区ハーレムのレストラン、ミストハーレムの経営者、クライド・ペンバートンさん(68)はニューヨーク市警察(NYPD)を相手取り8月、同区の連邦地裁に賠償金を求めて提訴した。逮捕は人種差別に基づくと主張している。
 訴えによると、黒人のペンバートンさんは昨年7月1日夜、同店で明らかに意識を失った白人の女性を別の2人の白人女性がトイレから運び出すのを目撃。心配したペンバートンさんは3人に駆け寄って話を聞き、意識を失った女性を椅子に座らせるよう提案した。すると女性の1人が突然ペンバートンさんの胸に殴りかかり、人種差別的な言葉で中傷したという。
 従業員の1人が911番通報。駆け付けた数人の白人警官は女性の話を聞くのみでペンバートンさんからは事情を聞かず、ペンバートンさんとその場にいた2人の黒人従業員を監禁容疑で逮捕した。その後3人は半年間拘留された。
 ペンバートンさんは訴状で「良心的な経営者が、黒人であるがために」逮捕されたと主張した。
 逮捕した警官の1人は、3人が同店の出口をふさぎ、「女性たちがこの場から離れないようにしている」と警官に告げたことを逮捕の理由と説明。市訴訟部門の広報担当は「事件を再確認してしかるべき対応をとる」と述べている。

ミストハーレム店内。公式ホームページより

ミストハーレム店内。公式ホームページより