種子骨障害、知っていますか?
歩いていて、足の親指の付け根が痛いと感じたことがある人は少なくないのではないでしょうか。この部分の痛みで有名なのは痛風ですが、歩いていてその部分が痛むのは他の原因が考えられます。それが、「種子骨(しゅしこつ)障害」です。種子骨とは親指の付け根(足裏)に2つある、種のような形をした骨です。
種子骨の周りには足の指の動きに関係する筋肉や腱が集まっており、それらの筋肉や腱が効率良く働くよう調整する役割を担っています。この種子骨が炎症を起こすのが種子骨障害で、時には骨折することもあります。
歩くだけでも走る痛み
種子骨障害は、ダンサー、ランニング愛好者、ハイヒールをよく履く人に多発します。また、足の裏のアーチが高い人、外反母趾の人にも種子骨障害は起きやすいです。
種子骨障害の痛みは、足趾の付け根で地面を蹴り出す際に足底が緊張し、種子骨を引っ張る力が加わることで発生します。歩く、走る、地面を踏み込むなどの動作をすると、母趾球部分に痛みが出ます。この部分を指で圧迫または足の親指を手で反らしても同様に痛みが出ます。底が薄い靴やハイヒールなど傾斜の高い靴を履いて歩くと悪化します。患部が熱を持って腫れることや、親指が赤くなることもあります。
安静に、パッドも有効
ではどのように対処すればいいのでしょうか。痛みが強いときは、運動をしている人は運動を一時的に止めて、足を安静にします。また足の裏にかかる負担を軽減させるため、柔らかい素材でできた特別なパッドを靴の中に入れて除圧します。このパッドは「ダンサーズパッド」といわれ、親指の付け根の部分がくり抜かれているため、床と当たることが少なくなるようになっています。パッドによる除圧や安静にすることで炎症を抑えることはできますが、根本的な解決にはなりません。足の裏の硬さ、種子骨に負担が掛かるような足の形、歩き方など、種子骨障害に至った原因を解決するためにリハビリも必要になります。足の痛みでお困りの際はファンクフィジオにご相談ください。
押本理映 (FuncPhysio日本支部代表)
PT(日本の理学療法士)免許を2011年取得後、大学病院で臨床経験に励む。ダンスを中心とした芸術スポーツ分野のリハビリを学ぶために15年来米。NYUハークネス・ダンス・センター、高田洋平氏の下で徒手療法を学ぶ。専門分野はダンサーのスポーツ障害。10代でロシアにバレエ留学した経験を持つ。r.oshimoto@funcphysio.com