【20日付ニューヨークタイムズ】1950年代と60年代にニューヨーク・シティ・バレエ(NYCB)で活躍。「白人芸術」とされたバレエで、人種の壁を破った黒人ダンサー、アーサー・ミッチェルさんが19日、心不全による合併症で亡くなった。84歳だった。
1937年、マンハッタン区ハーレムで5人きょうだいの1人として出生。幼いころにタップダンスに親しみ、同区の芸術高校で本格的にバレエを学んだ。NYCBでは、創立者のジョージ・バランシンの振り付けによる「アゴン」(57年)、「真夏の夜の夢」(62年)などNYCBの代表作で踊った。際立った存在感と稀に見る芸術性で観客を魅了、黒人ダンサーとして初めて国際的なスターダムにのし上がった。68年のキング牧師暗殺に強く影響され、同牧師に捧げる「レクイエムキャンティクルズ」を踊った後、退団。翌年、米国初の黒人クラシックバレエ団、ダンス・シアター・オブ・ハーレムを創立し、後進の指導に当たった。同バレエ団には現在、300人以上が在籍している。
生前、「世の中に楯突いて、約400年の歴史を持つバレエを黒人に紹介したことが自分の功績」と話していた。