【9月27日付ニューヨーク・デイリー・ニュース】ブロンクス区で黒人生徒を奴隷に見立てて「実演授業」を行ったとして解雇目前となっていた白人の元教師、パトリシア・カミングスさんが「解雇は根拠がなく、白人の自分を対象にした『逆差別』だ」などと訴え、ニューヨーク市と学校、メディアを相手取り、損害賠償1万2000ドル(約137万円)を求めて提訴した。集団訴訟を起こす動きもあり、賠償額は計10億ドル(約1139億円)にも及ぶ可能性があるという。
生徒らによると、カミングスさんは今年1月、同区の公立中学第118校(PS118)で、「奴隷の気持ちを実感させるため」黒人生徒に床に寝転ぶよう指示し、背中を踏みつけたという。報道を受けて保護者などから批判が噴出し、市教育局(DOE)は調査の末「教育者として不適格」として、パトリシアさんに雇用不継続を9月17日に通知。30日後に解雇されることになっていた。
しかし訴えによると、パトリシアさんは疑惑について「事実ではない」と主張。「狭いスペースに詰め込まれた奴隷の気持ちを感じてもらうため」生徒たちに肩を寄せ合って座るよう指示はしたが、黒人生徒のみを寝転ばせたり、背中を踏みつけたりはしなかったという。弁護士は「白人教師は明らかな逆差別を受けている。だから白人の親は子どもを公立学校に通わせたくないのだ」と話した。DOEは訴えについて「根拠がない」とした。