【3日付カーブドニューヨーク】トランプ大統領の巨額脱税疑惑に関連して、ニューヨークタイムズはニューヨーク市内で不動産業を営んでいたトランプ一族が、市のレントコントロール(法律による家賃規制)やニューヨーク州法を悪用して不動産価値を不当に上げることで家賃を上げていたと報道した。州の税務当局は2日、事実関係の調査に着手すると発表している。
州家賃法の下では、レントコントロールの物件所有者が物件を改装したり新たな設備を導入したりした場合、改良にかかった費用に準じて家賃を上げることが許される「大規模資本改良」(MCI)という規定がある。
同紙の報道によると、トランプ一族は見せかけの会社を通し、改良費用を水増ししてMCIを申請。実際より20%から50%、ときにはそれ以上、上乗せしていたという。一例では、ボイラーなどのわずかな設備投資にかかった費用を同社が3000万ドル(約34億円)以上と主張することで、一族が所有する何千軒もの家賃を上げる許可を得ていた。賃借人は家賃上昇について繰り返し抗議したが、引き上げが止まった記録はないという。
MCIの悪用は市で長年まん延してきた。2019年のレントコントロール制度改正ではMCIの申請厳格化や廃止も検討されている。賃借人団体のシー・ウィーバーさんは「設備投資は所有者にとって1回きりだが、家賃引き上げは賃借人にとって継続的なコスト増加だ」と訴えている。