【4日付ウォール・ストリート・ジャーナル】マンハッタン区セントラルハーレムに薬物依存症や精神疾患の治療施設を建設する計画が、住民の反対に遭い難航している。住民は、近隣に同様の施設が次々と建設され「飽和状態」にあると訴えている。
計画を進めるマウント・サイナイ・ヘルス・システムによると、新施設は西124丁目付近に建設予定。HIVおよびエイズ患者向けの外来や、若年の性的少数者(LGBTQ)の心の悩みや問題行動に対応する部門も設ける。しかし同地域には既にホームレスシェルター、ヘロイン依存症治療施設、精神疾患患者のグループホームなどがあり、近隣住民は、「同様の施設はこれ以上不要」と反対。特にレノックス街125丁目付近には治療に訪れた患者が集まり、付近の治安を乱しているとの声もある。
一方で同地域にはホールフーズマーケットが開業、コスメ専門店、セフォラなどの進出も決まり再開発ブームに湧いている。同地域委員会は「住民の健康のために治療施設は必要」と建設の意義を認めながらも、住民の利害との調整に頭を悩ませる。建設には土地利用目的の面的条件付け(ゾーニング)上で特別許可を受けなければならないが、ニューヨーク市規格委員会の審査も進展していないという。
市の集計によると、セントラルハーレムは市内で薬物の過剰摂取死が最も多い地域の1つ。