【11日付NBCニューヨーク】ニューヨーク州のトーマス・ディナポリ会計監査官は11日、同州都市交通局(MTA)の業績見通し年次報告書を発表した。地下鉄利用者数の減少やインフラ整備計画の遅延、人員不足など、MTAが抱える数々の問題点が浮き彫りとなった。
同会計監査官は、州と市がMTAに8億3600万ドル(約937億円)を投資したにもかかわらず、サービスにほとんど改善がみられないと指摘。声明文で「利用客は不満を抱え、離れていくだろう」と述べた。
MTAは2019年と21年にそれぞれ4%の運賃・通行料の値上げを予定。しかし予算削減も計画されており、報告書ではこの予算では10年間に400億ドル(約4兆4812億円)をかけて行われる地下鉄網近代化計画の遂行は不可能だと指摘した。
報告書によると、19年の地下鉄およびバスの利用者数は、MTAの3年前の予想から2億3600万人減となる見込み。16年から19年に8億2200万ドル(約921億円)の収益損失につながるという。また、過去の投資計画による債務元利未払い金が22年までに33億ドル(約3700億円)に達し、総収益の18.6%、運賃・通行料収益の36.5%を占めると予想している。
サービス向上を目的とし、昨年7月に開始した18カ月計画「サブウェイ・アクション・プラン」 についても報告書は「立ち遅れている」と評価。計画の約58%しか実行できておらず、信号機の改良など今後1億1700万ドル(約130億円)規模の投入が必要とした。19年末までに2800人の技術士を新たに雇う計画だったが、現在の雇用人数の目標は1249人。今年7月までに雇用した技術士は927人だった。