【15日付ニューヨーク・デイリー・ニュース】インフルエンザの季節の到来を前に、ブロンクス区のモンテフィオーレ病院では患者が慢性的にあふれ問題となっている。救急救命室(ER)を初期治療目的で利用する低所得層の住民が多く、受け入れ患者が激増、医師や看護師の手が回らないためだ。医療過誤で死者が出ないのは奇跡だとの声もある。
「走り回ってあちこちのボヤを消しているよう」と話すのは、ERの看護師、ケート・プーさん(37)。同時に15人の患者を看ることもあるという。ニューヨーク州看護師協会は、同時に担当できるのは3人を限度としている。
病室も慢性的に不足。入院患者は折りたたみ式ベッドに寝かされ、呼び出しボタンもない。患者が看護師を呼ぶときは叫ぶしかないという。「まるでホラーショーか動物園」「人間としての扱いを受けていない」などと怒る患者も少なくない。
事態を憂慮したリッチー・トーレス市議会議員(民主)は8月、ニューヨーク市捜査局に実態調査を依頼。それでも改善の動きがないとして、現状把握を目的に患者や病院職員を対象としたホットライン(646-481-8892)を設置、情報の提供を求めている。
病院側は「ERを本来の目的で活用できるよう、他の医療機関などと協力していく」としている。