演劇本の老舗が移転の危機 在庫数は全米1、トニー賞も

 【24日付ニューヨークタイムズ】マンハッタン区ブロードウェーの劇場街にある演劇関連書籍の専門店「ザ・ドラマ・ブック・ショップ」が移転を検討している。賃料高騰が原因だそうだ。
 副店長のアレン・ハビーさんによると、同店の賃料は現在、1カ月当たり約2万ドル(約225万円)。来年からの値上げ告げられ、賃貸契約の更新を断念したという。劇場街で別の場所を探すというが、周辺の賃料も高騰していることから、適当な場所を見つけられるかは疑問だ。ハビーさんは「毎月の経費を払うので精一杯」と苦労をあらわにした。
 同店は1917年、演劇関連業者団体「ドラマリーグ」が開業した老舗。昨年、開業100年を迎えた。台本や原作本など演劇関連書籍の在庫数は全米最多の2万冊を超え、業界で中心的な役割を果たしてきた。同店の地下に併設された劇場は2011年、「優秀な劇場」としてトニー賞を受賞した。
 同店の危機に、演劇プロデューサーのジェームズ・フォーブス・シーハンさんは「演劇コミュニティーにとって悪い知らせだ」とツイッターに投稿。ミュージカル「ハミルトン」の監督で主演も務めたリン=マニュエル・ミランダさんは、トニー賞を受賞した書店は他にないとして、「どうすれば存続させられるか検討する必要がある。さもなければ幕切れだ」と語っている。

同店の店内。ツイッター(@dramabookshop)より