「麻薬王」の陪審員選任 被告も出席の面談、何が聞かれた?

 【5日付ニューヨークタイムズ】「麻薬王」と呼ばれた「エル・チャポ」ことホアキン・グスマン被告(61)の裁判における陪審員の選任作業が5日、ブルックリン区の連邦地裁で始まった。
 グスマン被告はメキシコ最大級の麻薬組織の最高幹部。コカインなどの米国への密輸の他、組織を守るために少なくとも30人の殺害に関与したとして約10年前に起訴された。その悪名高さから、担当判事は今年初め、陪審員を匿名とし、連邦保安官が陪審員を裁判所まで送り迎えするという異例の措置を発表していた。
 この日は陪審員候補、46人が判事や弁護士との面談に臨んだ。紺色のスーツに白いシャツを胸元まで開けたグスマン被告も出席。厳重な警備体制の中、候補者は「大麻についてどう思うか」「スペイン語は話せるか」などの質問を受けた。
 候補者の多くが、同被告がメキシコの刑務所から2度逃亡した脱獄犯と認識。数人は同被告をモデルにしたテレビシリーズを見たと答えた。同被告のことを「怖い」と答えた候補者は1人。同被告のことを全く知らない男性はエル・チャポについて、「近所のデリにあるベーグルサンドイッチの名前」と答えた。クリームチーズに鮭の燻製が挟んであるという。「なぜそう呼ぶかは分からないけどおいしい」と発言し、笑いを誘っていた。
 この日、公正な判断ができないなどとみなされた17人が不選任となった。最終的に12人が選ばれ、約4カ月にわたる公判に臨む。初公判は早ければ13日の予定。