大塚 洋一(Gulliver USA) 車の豆知識 第77回 中古の買い方 〜高いもの、安いもの

 駐在員として来米し、車は必要だが買い物くらいにしか使わないため、使用期間は3年から5年で最も経済的に乗れる車を探している人を大変多く見受けます。今回は、中古車を購入する際、当時の新車価格と現在の中古価格との差額から「リセールバリュー(再販価値)」を予測する豆知識を紹介します。
 新車からの値段の下落幅が小さいものが、結果としてリセールバリューが高く、最も経済的に乗れます。人間の心理としては、お金を節約したい場合、初期投資を抑えたり割安感のあるものに手を出したりしがちですが、リセールバリューの観点からすると、実は真逆なのです。
 割安感のある車は、車を所有している期間も価値が下がり続けます。また、なかなか売れないため安く販売されているのですが、販売店側は在庫回転の良い人気車種より在庫維持の費用が多くかかる分、マージンを多く取る必要がありますので、割安感のある車の価値は予想以上に低いことがあります。
 その他のポイントとして、人気車両は、中古でも新車とあまり変わらない価格のことが多いです。あと少しお金を出せば新車が買えると思いますが、前提として新車から3年間は車の価値が下がりやすいので、やはり中古の方が経済的になります。
 中古車を買う際に明確な中古車価格というものは存在しません。例えば、2010年式トヨタカローラLE、走行距離3万マイルがあったとしましょう。大手C社では1万2998ドルから1万3998ドルで販売されているようです。インターネットで中古車相場を調べることができる「ケリーブルーブック」というサイトでは1万3725ドルと算出されました。ですが、その他の車検索サイトで探すと大体1万ドルから1万5000ドルの範囲で同じような条件の車が引っかかってきます。
 購入する側からすれば安ければ安いほど良い条件と感じますが、中古車には必ず相場というものが存在します。実際の相場よりも1000ドル以上安い場合は、何か良くない理由があると考えるべきです。この場合だと1万2000ドルほどで売られており、相場よりも「異常に安い」と考えましょう。
 注意したいのは、価格設定が高いだけの車も存在するということです。1万5000ドルで売られていても、それが必ず安心に結びつくか、というとそうではありません。必ず事故歴の有無、車のダメージと修理歴、納車後の保証、整備の内容などを確認して、価格の妥当性を確かめてから購入する必要があります。
 ちなみに、車両の履歴情報(CARFAX)は完璧ではありません。CARFAXに問題はないのに、実際にはフレームにダメージを伴っている車両などたくさんあります。フレームのダメージまで深刻でなくても、板金塗装をしてある車は非常に多いです。自動車保険が高いことから裏付けられているように、米国では接触事故が多いので多少のキズや板金塗装歴など、現地の人からすれば当たり前なのかもしれませんが、米国ではこの履歴を客に隠して(意図していなくても告知せずに)販売する店がほとんどなのです。日本人としてはあまり気持ちの良いものではありませんよね。

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大塚 洋一
2004年に(株)ガリバーインターナショナル(現:(株)IDOM)入社。対企業向けのコンサルティング営業部でスーパーバイザーを経て、06年に直営店舗事業部へ転属。その後日米で店長を経験し、現在は全米のEコマース事業を手がける。豊富な知識と丁寧な接客に定評があり、緊急時や時間外も対応。
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