【8日付ニューヨークタイムズ】ブルックリン区サンセットパークの教会で、難民や移民の権利擁護のために奔走する神父がいる。アワー・レディー・オブ・パーペチュアル・ヘルプ教会のラスキン・ピードラ神父(84)だ。毎日英語、スペイン語、中国語でミサを行う傍ら、マンハッタン区の移民裁判所に出向いて直訴することもしばしば。同神父にとって、今年は特に忙しい1年となった。
自身もキューバ移民の両親を持つピードラ神父は2003年、移民関係の法律相談を受ける非営利団体、ファン・ニューマン・センターを設立。トランプ政権発足以来、「受け入れの門戸が狭まったことを肌で感じる」と明かした。現在、19年末までに14の法廷審問案件を抱える。以前は週に1、2人だった相談者は今では毎日訪れるという。
同神父によると、センター設立当初はルーマニアからの放浪民族、20人以上の亡命申請全てが承認されたが、現在は同様の申請が却下される。「毎回直訴しなければならない」と話す。
相談者のほとんどは不法滞在者。「強制送還された場合、米国で生まれた子どもはどうなるか」といった相談を受けるという。ギャング構成員に姉と母を殺され「次はお前だ」と脅され米国への亡命を求めているエルサルバドルの男性もいるといい、ピードラ神父は「どうすれば良いんだ」と途方に暮れる。