【8日付ニューヨークタイムズ】騒音や遅延、人混み…。ニューヨーカーにとって地下鉄はできれば避けたい存在。しかし、自閉症の少年にとっては心地よい場所のようだ。
トラビス・ハゲットさんの自閉症の息子、オーソン君(9)は地下鉄が大好き。ハゲットさんはオーソン君が通う自閉症のための特別支援学校で、他の児童も同様に地下鉄に魅了されていることに気付いた。児童らに地下鉄のどこが好きか聞いて回り、列車と一緒に写真を撮る活動を始めた。時刻表、人混みから鉄道の模型まで、興味の向く先はさまざま。ハゲットさんは「こんなに多様なんて信じられなかった」と目を見張る。
ハゲットさんによると、地下鉄が好きな傾向は男の子に顕著で、写真を撮った子どもは全員が列車内での撮影を望んだ。地下鉄好きの傾向は一概には説明できないと分析。列車が地図や時刻表に沿って規則正しく運行するからとの予想もあるが、ハゲットさんは「息子は地図や時刻表には興味がない」と反論する。
ニューヨーク交通博物館では2010年から、自閉症の子どもの地下鉄への興味を「地下鉄探偵」という課外授業に活かしている。小学生を対象に、館内に展示された地下鉄を使って、2人一組で謎を解く。生まれる会話を通して、友達との付き合い方を学ぶ狙いだ。高校生向けのプログラムも好評だという。