日本の着物からアイデアを得た衣装などを展示する「Kimono Refashioned: 1870s-Now!」が1月6日まで、ニュージャージー州のニューアーク博物館で開催されている。公益財団法人、京都服飾文化研究財団(KCI)に収蔵されたドレスや着物、帯などの衣装作品の他、掛け軸や浮世絵など62作品を展示。19世紀後半から現代までの、日本と西欧の文化の融合がうかがえる。
展示室に入るとまず目に入るのが、襟元が立ち上がり、スカートの後ろが膨らんだ19世紀の英国風のドレス。藤や菊、牡丹の柄をあしらった着物の布地が使われ、まさに和洋折衷を感じさせる。コルセットを取り除くことを提案したフランスのデザイナー、ポール・ポワレ(1879〜1944年)が「羽織」に触発されシルクの縮緬を使って作ったドレスや、高級ブランドのシャネルを創業したココ・シャネル(1883〜1971年)が1927年に製作した、金襴に菊の柄が施されたイブニングコートなども展示されている。
日本人デザイナーによる斬新な作品もある。三宅一生(80)が中心となり作ったドレスはたたむと模様になり不思議。アーチ状の模様が大胆なドレスは川久保玲(76)製作だ。他にも漫画家、手塚治虫(1928〜89年)の作品を取り入れたTシャツや、日本漫画で使われた擬音語・擬態語を全面にあしらったスーツなどもあり退屈させない。
同美術館のキュレーター、キャサリン・アン・ポールさんは同展の共同キュレーターも務めた。着物の魅力を「特有の要素が多数散りばめられているにもかかわらず、バランスが取れているところ」と話す。デザイナーそれぞれの個性を見て楽しむだけでなく、日本人にとっては着物文化を見つめ直し、新たな発見もできそうだ。