ジョガー殺人、審理無効 自白映像やDNA検査に疑問符

 【20日付ニューヨークタイムズ】クイーンズ区で2016年、ジョギング中のカリナ・ベトラノさん=当時(30)=を乱暴し殺害したとして、殺人と性的暴行の罪で起訴されたシャネル・ルイス被告(22)の陪審裁判は20日夜、陪審団が評決で合意できず審理無効となった。再審は来年1月22日に開始予定。
 12人の陪審団は1日半に及んだ評決で、ルイス被告の自白映像やDNA検査の詳細など、公判で提示された証拠を見直したが、意見がまとまらなかった。弁護士によるとルイス被告は有罪判決が下されず安堵しているという。ベトラノさんの遺族は「ひとりにして」とコメントを拒否した。
 ルイス被告の起訴内容は16年8月、同区ハワードビーチの公園でジョギング中だったベトラノさんを何度も殴り、胸の上に乗って押さえ付け性的暴行を加えた上、首を絞めて殺害したというもの。17年2月に逮捕された同被告は取り調べで何度も容疑を否認したが、ベトラノさんの遺体から自身のDNAが検出された後、2回にわたって犯行を自供。取り調べで「彼女を殴った。怒っていたんだ」などと供述する様子が録画されていた。
 この日の最終弁論で検察側はルイス被告について、仕事がなく友人もいない「徘徊者」だとし、「怒りや性的欲求にまかせて犯行に及んだ」と主張。「証拠をたどれば被告に行き着くのは当然」と述べた。一方で弁護側は、長時間窓のない部屋で行われた取り調べは「過酷」と指摘。DNA検査についても「行ったことのないところからDNAが検出されることもある」と疑問視した。