【11月29日付amニューヨーク】12月1日は世界エイズデー。エイズウイルス(HIV)感染の深刻さと被害の風化を防ごうと、1988年に始まってから30周年だ。ニューヨーク市保険精神衛生局(DOH)の発表によると市内のHIV感染件数は2017年、前年より5.4%減少し、01年の統計開始以降最少の2157人。感染者も服薬しながらより長生きできるようになったが、専門家は依然、エイズへの注意を呼び掛けている。
ニューヨークを拠点にHIVの予防や治療、啓蒙活動を展開する非営利組織、ゲイ・メンズ・ヘルス・クライシス(GMHC)最高経営責任者(CEO)のケルシー・ルイさんは世界エイズデーについて、HIV感染対策の成功を祝うと同時に、予防を呼び掛ける日と指摘。「エイズから死亡に至ることは少ないが、いまだに感染者に対する差別や偏見と闘っている」と話した。
同姓愛者であるコリー・ジョンソン市議会議長は、自らがHIVに感染していることを公言し、差別や偏見をなくそうと活動。世界エイズデーを前に「HIVが大流行した時代に奮闘した人の活動があってこそ、今、私が発言できる立場があることに感謝したい」と話した。20年までにエイズのまん延を止めるとの市の目標に意欲を示す一方で、HIVやエイズが低所得者や有色人種に影響を及ぼしていることを示す、より正確なデータが必要だと訴えた。市で新たに感染が確認された男性のうち、75.9%は黒人またはラテン系だという。