コール・ポーターのピアノ復活へ アストリアホテルのロビーにあった逸品

【16日付ニューヨークタイムズ】米国を代表する音楽家、コール・ポーターが1930年代中頃から亡くなる64年まで愛用したスタインウェイ製のグランドピアノが現在、クイーンズ区アストリアにあるスタインウェイ社の工場で修理され、このほど復活することになった。
ポーターはミュージカルや映画音楽を作詞作曲し、「夜も昼も」「ユーアー・ザ・トップ」などのヒット曲がある。名門ホテル、ウォルドルフ・アストリアの上階の住人で入居の際、同ホテルの支配人がこのピアノをプレゼントしたと伝えられている。
ピアノの製造番号は129281。創業162年のスタインウェイ社は全ての製品に番号を付けて記録しており、それによるとこのピアノは1907年に完成し、翌年販売されている。マホガニーの「屋根」に英国の画家による風景画が施された逸品で、「米国ミュージカルの歴史を飾る名曲のいくつかは、このピアノで生み出された」と記された銘板が付いている。
ポーターの死後は同ホテルのロビーに置かれ宿泊客の目を楽しませていたが、2014年に同ホテルが中国の安邦保険集団に買収され、17年の改装開始とともに倉庫入りとなった。ピアノは修理終了後、同ホテルの名物、ジョン・F・ケネディ大統領が愛用したというロッキングチェアなどとともにニューヨーク歴史協会で一時的に展示される。