朝起きて「腰が痛い」と感じたことはありませんか? マットレスが柔らかい場合や寝方が悪いということもありますが、股関節の前面が凝っていると、睡眠中の姿勢が悪くなり腰痛を起こしたり、悪化させたりしてしまいます。股関節の前側をストレッチすることで腰痛が解消することもあります。
デスクワークが多い人や運転手のように座った姿勢が一日中続く場合や、立って前かがみで長時間作業をし、股関節が常に曲がっている場合は、股関節の前面が伸びる機会がなく、筋肉が凝ってしまいます。また、脚の血の巡りも悪くなりがちです。
股関節の前面は腸腰筋という、いわゆる「コア」に分類される筋肉があります。この筋肉は、腰椎の前面から股関節の前面と通り大腿骨に付着しているもので、長時間同じ姿勢でいることによって縮み、腰痛につながります。
ファンクフィジオの治療では腹部から手を沈めていき、腸腰筋に直接触れて緊張をほぐしていくこともあります。
自宅でできる腸腰筋のストレッチ方法を紹介しましょう。まず膝立ちで座り、片脚を前に出します=写真=。お尻の先を締めて(骨盤を少し後ろに傾ける)、お尻の下を前に押します(矢印)。このとき、腰が反らないように気を付けましょう。それほど前に体重を移動せずに、股関節前面が伸びていると感じられると思います。ちょうど良いと感じるところで20秒から30秒ほど止まり、深呼吸をしながらゆっくりとストレッチします。毎日寝る前に片脚2、3回ずつ行うのが良いでしょう。
それでも寝起きの腰痛がつらい人は、寝るときに膝の下に枕を入れると、痛みが軽減できます。頭に置く枕を変えることで腰痛が解消することもあります。ファンクフィジオでは、患者1人ひとりに適した寝方のアドバイスを含め、「快眠」のサポートをしていきます。
押本理映 (FuncPhysio日本支部代表)
PT(日本の理学療法士)免許を2011年取得後、大学病院で臨床経験に励む。ダンスを中心とした芸術スポーツ分野のリハビリを学ぶために15年来米。NYUハークネス・ダンス・センター、高田洋平氏の下で徒手療法を学ぶ。専門分野はダンサーのスポーツ障害。10代でロシアにバレエ留学した経験を持つ。r.oshimoto@funcphysio.com