【28日付CNN】子どものころに性的虐待を受けた被害者が民事訴訟を起こすことができる期間を大幅に延長する法案が28日、ニューヨーク州議会上下両院で可決された。アンドリュー・クオモ知事は近く署名する意向。
州ではこれまで、幼いころに性的な虐待や暴行、レイプなどを受けた被害者の民事訴訟の出訴期限は、被害者が23歳になるまでだった。今回可決された「児童被害者法(チャイルド・ビクティムズ・アクト)」案では期限を55歳までと延長する。刑事訴訟の場合は28歳。同法案はまた、被害者の年齢や期限の満了を問わず、1年間の出訴猶予を設ける。
子どもを虐待から守る非営利シンクタンク、チャイルドUSAの統計によると、幼少期に性的虐待を受けた被害者のほとんどは被害を隠す傾向にある。告白する場合でも、平均52歳になってからだという。児童への性的虐待のパターンについての研究が進むのも民事訴訟期間中のことが多いといい、同団体創業者のマーシ・ハミルトン氏は「(出訴期間延長は)公の知識を広げるのにも役立つ」と歓迎した。
全米の多くの州では児童への性的虐待の出訴期限は長く、9州では出訴期限がない。またチャイルドUSAによると現在、8州でニューヨーク州と同様の法案が検討されている。米疾病管理センターによると、全米の子ども7人に1人が昨年、性的虐待またはネグレクト(育児放棄)を受けていたと推定される。
同法案は十数年間にわたり、カトリック教会からの強い反対にあい、その圧力を受けた共和党議員により否決されてきた。