容疑者特定手続きは不公平? NYPD捜査に疑問符

 【1月29日付ニューヨークタイムズ】警察が事件の被害者や目撃者に容疑者の顔を見せて特定させる「面通し」。複数の人物を並ばせて容疑者を選ばせる「ラインナップ」手続きにおいて、目星を付けた人物への誘導が意図的に仕込まれ、公平さを欠く場合があるという。
 2017年6月、クイーンズ区で起こった強盗事件の容疑者のラインナップでは、拘束した人物の顔にあざがあった。ニューヨーク市警察(NYPD)は目撃者の先入観を取り除くために、他に用意した男を含め全員の顔に同様に絆創膏を貼った。しかし、既に身柄を拘束していた人物の足元には足かせがされており、この男だけ髪型が違ったという。同事件の判事は、ラインナップの結果を採用しなかった。
 他にも、17歳の容疑者を30代の男たちと並べることもあった。1998年に行われたラインナップでは、警官が容疑者のふりをして混じり、起訴したい人物を指さすこともあったという。
 しかし、ラインナップ手続きを経た捜査による不当起訴への懸念が高まったことから、NYPDは公平性を高めるための対策を進めてきた。ダーモット・シェア刑事部長によると、容疑者の入れ墨を隠す、帽子で髪型の違いを分からせないようするなどしているという。
 一方で、こうした捜査は警察内部で行われているため、改善を示すデータは少ない。ニューヨークタイムズは、NYPDが用意した人物が既に拘束された容疑者の2倍以上の年齢だったラインナップ手続きをここ10年で3件確認。リーガル・エイド・ソサエティーによるとこうした誘導は今でも少なくないという。