【5日付ニューヨークタイムズ】ネットフリックスの話題のドラマシリーズ、「ロシアンドール」は、マンハッタン区イーストビレッジのトンプキンス・スクエア・パークが舞台だ。同公園には封印された過去がある。それがこのドラマで重要な役割を果たしている。
主人公はイーストビレッジに住む女性。不思議なことに、36歳の誕生日の夜を繰り返し体験する。その鍵となるのが1988年夏のトンプキンス・スクエア・パーク。当時、公園には約150人のホームレスが寝泊まりし、違法薬物の密売が横行。パンクロッカーやアーティストが深夜まで酒盛りをするなど混沌とした状態だった。
地域委員会は、治安維持を理由に公園への夜間の立ち入りを禁止しようとしたが、ホームレスやその支援者、アーティストなどが立ち上がって抗議運動を展開。ニューヨーク市警察(NYPD)との激しい衝突に発展した。その後も何度か小競り合いを繰り返し、91年、NYPDは公園を閉鎖。市はホームレスを排除し、改修工事に着手。公園は翌年再オープンしたが、夜間の立ち入りは禁止され、これは現在も続いている。
ニューヨークタイムズの文化面担当、ジェーソン・ジノマン記者はツイッターで、「トンプキンスはニューヨークの反体制文化の砦だった。全てが変わった。そして全てが変わらない。これがニューヨークだ」と述べている。