マンハッタン区の移民裁判所で昨年6月に開始されたテレビ会議システムを使った審理は、憲法で保護された移民の権利を侵害しているとして、移民7人と移民に無償弁護を提供するニューヨーク移民家族結束プロジェクト(NYIFUP)は、移民税関捜査局(ICE)を相手取り、法廷での審理を保障するよう求める訴えを12日、同区の連邦地方裁判所に起こした。
収容施設に拘束されている移民はテレビ会議を通してのみ弁護士や判事と交流でき、裁判手続きに参加することができない。ICEは昨年6月27日、予告なしにシステムを導入していた。
NYIFUPは、対面での審理によって移民は裁判所への全面的なアクセスが保障され、弁護士も移民の権利をより有意義に保護することができたと主張している。
原告のアンドレア・サンズ代表弁護士はシステム変更により、本来なら米国への滞在が許可されるはずの移民が国外退去となる可能性が出ていると指摘。「国外退去手続きの迅速化とより多くの移民を国外退去させるために、デュープロセス(法の適正手続き)の権利および裁判所へのアクセス、弁護士との交流を制限する意図的な試みだ」と訴えた。
ニューヨークタイムズによるとこれまで、テレビ会議の予約が重複したため移民が3カ月間余計に拘束されたことや、収容施設の職員がテレビ会議での会話を聞いているため、性的指向などについての会話がしづらい移民がいたこと、声が聞き取りにくく話している内容を通訳が理解できないことなどが起きていた。
一方、ICEはテレビ会議は「混雑する移民裁判所で、迅速に対応するための方法」と主張している。