黒人に対する差別や嫌がらせへの対策として、ニューヨーク市人権委員会は18日、髪質および髪型を理由に差別することを禁じるガイドラインを発表した。こうした試みは全米初。市は黒人の髪質や髪型は「職場に似合わない」などとする先入観が、差別の手段とされることが多いと指摘している。
ガイドラインでは、職場や学校および公共施設で、髪質や髪型に基づく嫌がらせや懲罰、降格や解雇などを禁止する。スポーツクラブやバーなどの経営者が入場や入会の要件として髪質や髪型を変えるよう強制することも禁じる。違反した場合は最高25万ドル(約2800万円)の罰金を科す他、社則などの変更を命じる。被害者は損害賠償を請求できる。
同委員会のカーメリン・マラリス委員長は「市の人権条例では『全てのニューヨーカーは尊厳をもって扱われなければならない』と定めている。(髪型による差別禁止は)その第一歩だ」と強調。また、シャーレーン・マックレー市長夫人は「黒人の髪に対する偏見は米国の歴史と同じくらい古い人種差別」と非難した。
同委員会によると、ブロンクス区モリスパークの医療機関やマンハッタン区アッパーイーストサイドのヘアサロンなどの黒人従業員が髪型で嫌がらせを受けたと訴え、今回のガイドライン制定に至った。髪型による差別に関しては、現在市内で7つのケースを調査中だという。