【21日付ウォール・ストリート・ジャーナル】ニューヨーク市会計監査局が21日に発表した報告書によると、移民税関捜査局(ICE)が市で逮捕または強制退去処分とした不法移民の数が、過去2年間で急増している。
2017年1月のトランプ政権発足後、同9月30日までの最初の会計年度に、オバマ政権時の最後の1年間で強制退去となった不法移民の1.5倍に当たる2593人が強制退去処分を受けていた。そのうち1144人は犯罪歴がない不法移民で、こうした不法移民の処分件数は前年同期比で2.65倍に上っていた。
昨年、移民法違反によりICEの職員に逮捕された不法移民の数は、16年に比べて88%増の3476人。18会計年度に強制退去となった不法移民の数は史上最多で、16年度から30%拡大し1万9752人に達していた。
出身国別では、中国系移民に対する処分が16年から18年の間に1万件以上と最多で、次いで5000件以上のインド系移民、約4000件のグアテマラからの移民だった。
地域別では、同期間でクイーンズ区が市で最多の2万4000人以上がICEの取り締まりの対象となり、ブロンクス区で約7000人、マンハッタン区が約2800人、スタテン島が約1700人と続いた。
スコット・ストリンガー市会計監査官は犯罪歴を持つ不法移民を含む移民への法的支援の拡大と、手続き中に身柄を拘束された移民の保釈金の援助継続を市当局に呼び掛けた。
ICEの広報担当は「どんな美辞麗句を並べても、不法移民が米国に滞在し続ける限り、法を破っていることに変わりない」と述べている。