子ども虐待記録、不起訴でも削除できず 保護者の就職足かせに

 【25日付ニューヨークタイムズ】ニューヨーク州では、「子どもの虐待者に関するデータベース」の運用が他州と比べて厳格であり、「ブラックリスト」に載った保護者が就職できないなどの問題が出ている。
 州では、調査員が「虐待と信じ得るに足る証拠」を見つければ、データベースに記録できる。その後裁判所が虐待はなかったと判断しても、記録は容易に削除されず子どもが28歳になるまで残る。これは全米で最も長い期間とされ、第三者がデータベースを照会するのも他州と比べて簡単だという。
 口論から10代の娘を叩き、子どもに危害を加えたとして2017年に逮捕・起訴されたブルックリン区の女性は、起訴が取り下げられたにもかかわらずブラックリストに残り、13年続けてきた介護の仕事を解雇された。雇用主が犯罪歴を調査するため新たな就職先も見つからないという。
 これらの問題を受けて、保護者や育児活動家は、データベースの保存期間を5年間に限定するよう議員などに働きかけている。ミシガンやハワイ州などでは、不起訴になった容疑者を虐待者のリストから削除するなどの措置を取っている。
 子どもの虐待や育児放棄の申し立てを受けてニューヨーク州が行った調査は、昨年だけでも16万6000件あり、そのうち4万7541人がデータベースに追加されている。