9.11補償基金の継続を 連邦議員が法案発表、ワシントンで会見

 【25日付amニューヨーク】2001年の9.11同時多発テロの犠牲者補償基金は15日、残高がわずかとなったため、将来の補償額の大幅に削減すると発表。これを受け連邦議員らは25日、同基金を継続するための法案を発表した。
 同基金は11年に設立され、15年に補償期間を延長。一時は73億7500万ドル(約8180億円)規模に達していた。しかし現残高が23億7500万ドル(約2635億円)と残り少ないため、今年2月1日以前の請求は50%削減、2月2日以降の請求は70%削減すると明らかにした。同基金はこれまでに、2万1000件の請求に対し50億ドル(約5547億円)を支払い、補償期間を20年12月18日まで延長していた。議員らは、議会で基金の延長を繰り返すのではなく、基金を永続的なものとするべきだと主張している。
 ワシントンDCで行われた会見にはコメディアンで活動家のジョン・スチュワート氏も出席。「こんなシェナニガン(ごまかし)がまかり通るなら国民は怒り狂うぞ」と述べた。ニューヨーク州選出のカーステン・ギリブランド上院議員は、「9.11の英雄たちに、うんざりするような同じ手続きを踏むことを強いてはならない」と、チャック・シューマー上院議員は「病気の発覚までに時間がかかり、請求が遅れたことを理由に補償しないのは理に叶っていない」と訴えた。
 アスベストなどの有害物質にさらされた犠牲者の重病化や死亡率の増加、また昨年10月に将来の補償額削減が発表されたことで請求件数が急上昇し、基金を圧迫していると考えられている。