脳死体からの精子採取を迅速命令 「子ども育てたい」息子の夢叶えようと

 ウエストチェスター郡のニューヨーク州高位裁判所は1日、事故で脳死状態になった陸軍士官候補生のピーター・ズーさん(21)の精子の保存を望んだ両親の訴えを認めた。米陸軍のニュースサイト、アーミータイムズなどが伝えた。大きな牧場で馬を飼い、5人の子どもを育てるというズーさんの夢を叶えようと、両親が裁判所に嘆願してから約2時間のスピード命令だったようだ。
 報道によると、ズーさんはウエストポイント陸軍士官学校の士官候補生。同校のスキー場で2月23日、雪の上に倒れた状態で発見されウエストチェスター・メディカル・センターに搬送されたが脊髄を骨折しており、同27日に脳死と宣告された。臓器提供者として登録していたため、3月1日まで生命維持装置により生かされていた。ズーさんの両親は、ズーさんの精子を採取し保存することを同院に依頼したが、同院では前例がなく、裁判所命令が必要と言われたという。
 同サイトによると精子の採取は、臓器摘出前に行わなければならず、臓器の摘出は1日午後3時に予定されていたため、ズーさんの両親は同日午前9時38分に、精子の採取と保存の許可を求め、同裁判所に嘆願書を提出。同裁判所のジョン・コランジェロ判事は同日午前11時34分、同院に、精子を採取し、両親が望む精子バンクなどの施設に送るよう命じた。同裁判所から処分についてさらなる命令が下されるまで、保管されるという。