ニューヨーク市内の下水から回収されるごみが増加している。中でも深刻な問題となっているのは、台所から流された食用油と、トイレに流されて溶けたお尻ふきなどが絡み合ってできる「脂の塊」だ。市環境保護局(DEP)は、この塊は環境を汚すだけでなく下水管を詰まらせるとして、ごみを正しく捨てるよう呼び掛けている。
地元ニュースサイトのゴッサミストによると、ブルックリン区グリーンポイントにあるニュータウンクリーク汚水処理工場では、こうした塊が「年中無休」で流れ込む。銃、たばこ、コンドームなどの固形ごみは金網で回収。ドロドロの脂の塊は下水管の壁に貼り付いて詰まりの原因になるため「厄介」だそうだ。同サイトがDEPのエドワード・ティンバースさんの話として伝えたところによると、脂の塊が原因で下水管が詰まり汚水が逆流したのは昨年、2100回を超え、逆流の原因の90%を占める。さらに2017年に下水から回収された固形ごみは5万3269トン。07年の3万392トンから75%増加したという。
DEPによると、脂の塊を処理する費用は年間約1880万ドル(約21億円)。脂の塊は世界的に問題になっており、英紙ガーディアンの報告では、ロンドンでこの塊が「怪物化」し、200フィート(約61メートル)まで積み上がった例もある。