ニューヨーク市の財政状況は1970年後半以来最悪の状態にあり、破たんに向かっているという。ニューヨークポストが9日、専門家の話として伝えた。
同紙によると、市内の各世帯が抱える長期債務の額は8万1100ドル(約903万円)以上。ビル・デブラシオ市長は、来年度予算の支出を現会計年度の892億ドル(約10兆円)から30億ドル(約3337億円)多く設定。金融コンサルタント会社ベステッドの首席エコノミスト、ミルトン・エズラッティ氏は、2020会計年度の予算案で同市長が詳述した7億5000万ドル(約834億円)の余剰金があっても、不況が訪れた場合に破たんを食い止めるには不十分と推定する。加えて、ニューヨーク州は、翌会計年度の予算から市への助成額を6億ドル(約667億円)削減。その一方でデブラシオ市長が就任して以来、市の支出は物価上昇率の3倍に当たる約32%増加している。過去5年間に雇用者が3万3000人以上急増したことで、市の長期年金債務も高騰しているという。高い固定資産税も企業の財政を圧迫している。
エズラッティ氏同様、市の財政状態を「破産」寸前と指摘するのはアメリカ経済研究所のピーター・アール氏。同紙の取材に「破産した場合、市は債権者から一時的な保護を受けるだろうが、新しく借金することは非常に困難」と語った。