ニューヨーク州議会のパトリシア・ファーイ下院議員(民主)とリズ・クルーガー上院議員(民主)は5日、14歳以上であれば、保護者の承諾がなくても、おたふく風邪やジフテリア、百日咳、破傷風、インフルエンザ、B型肝炎、はしかなどの予防接種を受けることを可能にする法案を提出した。州内でのはしかの記録的流行を受けての措置。オハイオ州やサウスカロライナ州では、既に同様の法律が施行されている。
1998年に英国人医師が発表した、自閉症は、はしか、おたふく風邪、風疹の新3種混合(MMR)ワクチン予防接種により引き起こされるとの説は、複数の研究にから誤りであることが証明されている。それにもかかわらず、「反ワクチン運動」が盛んと推定される特定の地域では、同ワクチンの接種率が推奨数値を下回り、今回の流行につながったとみられている。
ロックランド郡は11日の時点で145件の感染を発表。大部分が超正統派ユダヤ教コミュニティーに居住する18歳以下で、そのうち80%が同ワクチンの接種を受けていなかった。市保健精神衛生局によると、12日の時点で市内の感染者は158人。そのうち157人はブルックリン区の正統派ユダヤ教コミュニティーの子どもだった。感染源となった子どもは、同ワクチンの接種を受けずにイスラエルに旅行し、現地ではしかに感染したことが判明している。
はしかは、子どもを中心に肺炎や脳浮腫などの重篤な合併症を引き起こし、死に至ることもある。米疾病管理予防センター(CDC)によると、米国では1960年代に予防接種が導入され、2000年には根絶を宣言。MMRワクチンの接種率は90%以上だが、20年前から低下傾向にあるという。