麻薬取引に絡んだ金銭トラブルで2016年、4人を殺害したとして殺人などの罪に問われているウエストチェスター郡の元警官に、ニューヨーク州南部地区連邦検事局は死刑を求刑する意向であると、ニューヨークポストが21日、報じた。同検事局による死刑求刑はまれで、執行は60年以上行われていない。
同検事局によると、同郡警察の元警官、ニコラス・タータグリオーネ被告は、15年6月ごろから16年4月ごろまで、元学校警備員のジョセフ・ビグス被告=誘拐や麻薬取引などの罪で起訴=らと共謀し、約5キロのコカイン取引に荷担。両被告らは同11日、コカインの売却金を盗んだと疑われたマーティン・ルナさんら4人の男性をオレンジ郡チェスターのバーに呼び出して射殺、同郡オーティスビルにあるタータグリオーネ被告所有の土地に遺体を埋めたとされる。
ニューヨークポストによるとタータグリオーネ被告の弁護士は無罪を主張。死刑求刑を「理不尽だ」と訴えた。
同紙によるとニューヨーク州南部地区検事局による死刑求刑の例は少ない。ハドソン川沿いの自転車専用レーンで17年、小型トラックで突っ込み8人の死者を出したサイフロ・サイポフ被告に対しては昨年、約10年ぶりの死刑求刑の意向を発表している。死刑執行は、旧ソビエト連邦のためにスパイ活動を行ったとして有罪を受けたジュリアス・ローゼンバーグ夫妻が1953年に処刑されて以来行われていないという。