WNYCラジオが収集した最新のデータによると、トランプ氏が大統領に就任した2017年以来、強制送還を恐れ、犯罪の被害を受けても届け出ない不法移民が増えている。
米国では、ドメスティック・バイオレンス(DV)やストーカー、レイプ、性的虐待などの重大犯罪の被害者に対し、合法な滞在資格がない場合は法執行機関に協力することと引き換えに、滞在と就労を許可するUビザを発行するシステムがある。米国ではここ数十年の間、被害の申告とUビザ申請を奨励してきた。
しかしWNYCによると、ニューヨーク市でのUビザ申請は17年には2664人だったのが、18年には2282人へと14%減少。WNYCがDV被害者を担当する弁護士の話として報じたところによると、強硬な移民政策を掲げるトランプ政権発足以降、移民税関捜査局(ICE)に通報されることを恐れ、申告をためらう不法滞在のDV被害者が増加。加害者であるパートナーの機嫌を損ね、通報される不安から、Uビザ申請に必要な、加害者に対する接触禁止命令の申請さえもためらっているという。
WNYCはまた、Uビザ申請に伴う捜査協力には、裁判所への出頭が必要となるが、不法移民は逮捕や強制送還を恐れて裁判所に行きたがらないと指摘。ニューヨーク州の裁判所内外で逮捕された不法移民の数が、18年は16年に比べて17倍増えていたとする移民弁護プロジェクトのデータもある。