ニューヨーク州議会下院は25日、混雑時にマンハッタン区の最も混雑する地域に乗り入れる車両に料金を課す、混雑料金制度の導入を支持することで合意した。上下両院で支持され、締め切りが4月1日に迫った新年度の州予算に組み込まれる見通し。各メディアが報じた。導入は2021年以降。開始されれば、ニューヨーク市は全米で初の混雑料金制度を採用した都市となる。
収益は州都市交通局(MTA)が、ニューヨーク市の老朽化した地下鉄網を近代化する資金に充てられる。2008年にマイケル・ブルームバーグ前市長が同様の提案をした際には無関心だった議員も、所得税歳入不足と地下鉄危機に直面するいま、ようやく重い腰を上げた形だ。
ニューヨークタイムズによると、課金対象として提案されているのはマンハッタン区60丁目以南。有料道路やトンネルを使って同区に入る場合は、混雑料金から値引きする。料金の詳細は決まっていないが、交通専門家のサム・シュワルツ氏は乗用車に12ドルから14ドル、トラックに25ドル程度の課金と予想。夜間や週末は料金が下がるのではと付け加えた。州当局は混雑料金により、年間で10億ドル(約1100億円)程度を確保する意向。徴収には自動徴収システム「イージーパス(E-ZPass)」を使う可能性が高いという。
同紙はまた、低所得者や障害者、医療機関へ向かう車両などを対象に、料金を割り引く案も州議員らの中で検討されていると報道。クイーンズ区選出のデビッド・ウェプリン下院議員(民主)は市内居住者全員の料金を免除する提案をしたが、採用される可能性は低いという。
ロンドンやストックホルム、シンガポールなどでは混雑料金制度が成功。カリフォルニア州ロサンゼルス市、ワシントン州シアトル市など、全米の他都市でも検討されている。