逮捕状の不備指摘、ICEを撃退 「移民の権利知って」支援団体営む男性

 不法滞在者2人が乗った車を止め「逮捕状」を突きつけて2人を逮捕しようとした移民税関捜査局(ICE)の捜査官に対し、冷静に不備を指摘して引き下がらせた映像がSNS上で話題だ。撃退したのは、ニューヨーク州東部コロンビア郡の移民支援団体、サンクチュアリ・ムーブメント代表のブライアン・マコーマックさん(30)。「自分の権利を知っていれば、不当に逮捕されずに済む」と、移民を対象とした啓蒙活動に励んでいる。NBCテレビなどが報じた。
 報道によるとマコーマックさんは先月5日、軽い交通違反を犯した不法滞在者2人を車に乗せて裁判所に向かうところだった。2人が乗り込むとすぐにICE捜査官に止められ「逮捕状」を見せられた。
 一部始終を捉えた動画によると、マコーマックさんは窓越しに「逮捕令状に裁判所判事の署名がない。これには憲法上従う必要はない」と主張し、ドアを開けなかった。捜査官は「正当な逮捕状」と反論したが、米国土安全保障省が署名した命令書に過ぎないことを指摘すると、引き下がった。
 マコーマックさんはNBCテレビの取材に「捜査官に立ち向かうのは緊張したし、自分の身の安全に対する怖さはあった。でもそれ以上に処分を容赦なく進めるICEの手法に対する怒りもあった」と振り返った。同団体によると、有効な署名のある令状は12枚に2枚程度。「落ち着いて対応すればICEも恐れるに足りない」と呼び掛けている。