マンハッタン区で雇用が拡大する中、新たに契約された賃貸オフィス物件の数が減少していることが、不動産仲介大手CBREグループの報告書により明らかになった。2019年第1四半期の間に、同区ミッドタウンで、新たに賃貸契約が結ばれたオフィス物件の総面積は392万平方フィート(約36万平方メートル)で、過去5年間の四半期平均から11%減少。また、同区全体で同時期に賃貸されたオフィス物件は、約700万平方フィート(約65万平方メートル)で、2%減少していた。
同区の空室または賃貸市場に出回る予定の入居可能スペースの割合は、今年の第1四半期に11.2%で、昨年の第4四半期末から0.4%増加。しかし、昨年の第1四半期と比較すると0.6%減少していた。一方、ニューヨーク州労働局のデータによると、同時期の市での民間雇用は増加しており、今年2月の時点での市の雇用は昨年から1.8%増の398万700件だった。また、同月の季節調整済みの失業率は4.2%で、昨年同月の4.3%から下がっていた。
11日付のウォールストリートジャーナルは、オフィス賃貸状況と雇用市場の成長との間にずれがあるのは、新たな雇用の多くがオフィスを必要としない医療分野でのものだったこと、第1四半期にオフィス賃貸が減少したのは、薬品大手ファイザーやドイツ銀行など大規模な賃貸契約が昨年急増したことが原因と分析する専門家の意見を紹介している。