優良公立中で生徒の多様化が前進 入試方法変更で、保護者からは懸念の声

 ニューヨーク市教育局(DOE)は、公立学校のダイバーシティ(多様化)計画の一環として入試方法を改正したブルックリン区とマンハッタン区の一部地区の優良中学校で、生徒の多様化が前進したと発表した。ウォール・ストリート・ジャーナルが、DOEのデータをもとに15日、報じた。
 ブルックリン区の中で富裕層が多く住むパークスロープと低所得の移民が多いサンセットパークを含む第15学区では、学校での成績や出席率(内申書)をもとにした選抜方法を廃止し、くじ引き式とした。6年生の半数は低所得および仮設住宅の居住者、または英語を母国語としない志願者に割り当てた。その結果、パークスロープの第15中学校(M.S. 51)では、今秋の全入学者のうち57%が低所得および仮設住宅の居住者となり、昨年度の33%から前進した。
 マンハッタン区アッパーウエストサイドの第3学区では、内申書を重視する従来の入試方法は維持したが、全生徒のうち25%を低所得で学力の劣る志願者を優先するとの目標を立てた。その結果、同学区のブッカー・T・ワシントン中学校では、これらの生徒の割合が昨年度の10%から18%に上昇した。
 DOEは今後も多様化計画を推進する意向だが、一部の保護者からは「成績の良い子どもが志望校に入れなくなるのでは」と懸念の声が上がっている。同紙によると、志願先を私立に変更する保護者も出ているという。