Jayシェフ もう一度ニッポン〜20年ぶりの日本の生活〜 第12回 変えるとき、変わるとき

イラスト Jay


“It is not the strongest of the species that survives,
nor the most intelligent.
It is the one that is the most adaptable to change.”
元号が変わるらしい。
「令和」
えーっと、Umm…
What does it mean?
 そういえば30年前の平成元年、ぼくはまだ日本にいた。いつものように蕎麦を打っていたその日、ラジオから昭和天皇が崩御されたという一報が流れて驚いた。それからというもの日本は「自粛」で包まれることとなる。せっかく新しい時代へ移ったというのに、ちょっと暗い1年だったように記憶している。
 その数年後ぼくはニューヨークへ渡り、年を経るにつれ日本との関わりも希薄になって、いつしかニューヨークでの生活が全てとなっていた。なので、日本を離れている間、今が平成何年なのかも分からないまま過ごしてきた。そして、元号は令和に。今回は現天皇の生前に皇太子が即位されるためか、前回と違ってお祝いムードが漂っている。
「平成最後の~」
というフレーズがやたらと目立ち商売っ気たっぷり? にしても、明るい雰囲気の中で元号が変わるというのはやはり良いものだ。どうせ新しく変わるのなら自粛ムードより、「おめでたい」雰囲気で新たなスタートを切る方が誰だってうれしいし、経済的な効果も計り知れないだろう。ご高齢の現天皇も肩の荷を下ろすことができ、良いことだらけのような気がする。
 いったいどのような論議があって生前に交代ということになったのか、庶民にはうかがい知れない伝統の上に成り立つ皇族ではあろうが何にせよ要は、
「やってみる」
ことが大切かもしれない。
 現在は世界中で過去の経験とか常識とかそんなものが簡単にひっくり返されてしまうような日常になりつつある。革命的変換はデジタルの世界から広がり、昨今では経済や社会環境も大きく変化し始め「パラダイムシフト」はもはや個人レベルでも必要とされようとしている。 大きくそして急激に変革していく社会。そのなかを我々はどう生き残れば良いのだろう。その答えをかのダーウィンは進化論のなかで、
“It is the one that is the most adaptable to change.”
「変われる能力を持つ者こそが変化する時代を生き抜く」
と唱えた。なるほど、新時代を生き残るものは「強い者」でもなく「賢い者」でもなく「変われる者」ということだ。そういえばずいぶん長い間エイリアン(外国人)を経験したぼくは、変化ということに多少なりとも慣れてきたつもりではいる。令和の時代はさらに激変の時代へと移るだろう。だからこそ「状況を変える能力」よりも「自身が変われる能力」を持つことが大切になってきそうだ。
おわり

asanuma01
Jay
シェフ、ホリスティック・ヘルス・コーチ。蕎麦、フレンチ、懐石、インド料理シェフなどの経験を活かし「食と健康の未来」を追求しながら「食と文化のつながり」を探求する。2018年にニューヨークから日本へ拠点を移す。