ニューヨーク州オールバニ市近くを拠点とし、「性奴隷」として女性に性行為を強要していたとされるカルト的秘密結社、NXIVM(ネクセウム)事件。結社内で「バンガード(先駆者)」と呼ばれていた創始者のキース・ラニエール被告(58)の陪審裁判が7日、ブルックリン区の連邦地裁で始まる。被告は性行為目的の人身売買などの罪に問われ、裁判は6週間続く予定。陪審員の前でわいせつな証拠品や証言が提示されることが予想されている。ニューヨークタイムズが1日、報じた。
同紙によると検察側は、衣服を着けていない15歳の少女の写真を証拠として提出する計画。ラニエール被告のイニシャルが入った焼き印を押された女性や、他の男性と性的関係をもったことで、罰として18カ月間、監禁されたという女性も証言台に立つ予定だ。ラニエール被告と共に起訴された、既に罪を認めた元幹部の女5人のうち、数人も証人となる見込み。「奴隷」として結社に所属していた女性やその家族らは、わいせつな事件の証言台に立たされることを避けたい一心から、ラニエール被告が罪を認め、司法取引に応じることを望んでいるという。
同被告は無罪を主張。同紙によればネクセウムで行ってきたことは重要で、人々を助け、人間性を高めるためのものだったと信じているという。ネクセウムは1998年、自己啓発セミナーを主催する団体として創設。メンバーに、同被告を「地球上で最も賢く道徳的な人間」と崇拝させていたという。