アパートへの顔認証導入に反対 「人種差別」、住人が意義申し立て

 家賃を法規制された(レントコントロール)アパートの出入り口に顔認証システムを導入するのはプライバシー侵害に当たるなどとして、ブルックリン区ブラウンズビルのアパートの住人グループは1日、アパート所有者を相手取り、ニューヨーク州の家賃規制監督機関ホームズ・アンド・コミュニティー・リニューアル(HCR)に異議を申し立てた。
 申立書はアトランティック・プラザ・タワーズ2棟の住人ら約130と弁護士団が提出。2棟では現在、ビルの出入りにリモコン型の電子キーが使われているが、アパートを所有するネルソン・マネジメント・グループ(NMG)は、「ストーンロック」と呼ばれる顔認証システムに交換する準備を進めている。
 ストーンロック社によると、この技術は目に見えない光源を使って人間の皮膚の下の特徴を読み取る顔認証システム。NMGは、ストーンロックが読み取った、ビルに出入りする全員の情報を写真で保存できるよう、許可をHCRに申請中。
 申し立てでは家主が住人の生体情報を保管する新システムは、HCRのプライバシー基準に違反すると主張。またNMGは安全性強化のためにシステム導入を進めているが、住人らは現行のシステムで十分安全だと訴えている。ビルのロビーなどには10台以上の監視カメラが設置されているという。申し立てではまた、顔認証システムは肌の色が薄い人に対してより正確に働く傾向があるとの研究にも言及。住人の約9割が黒人であることから「住人の権利を奪い、ひいては高級化を狙った人種差別だ」とも主張した。