MET、サックラー家から寄付拒否 オピオイドまん延の「元凶」から距離  

 メトロポリタン美術館(MET)は15日、同美術館の大口寄付者として知られるサックラー家からの寄付を今後受け付けないと発表した。
 サックラー家はオピオイド系鎮痛剤「オキシコンチン」を製造販売するパデューファーマの前身を創業、オピオイド系鎮痛剤まん延の「元凶」とされる。ニューヨークタイムズが報じたところによると、グッゲンハイム美術館や近現代の美術作品を集める英国・ロンドンのテートモダンなどもすでに同家と手を切っており、METも追随した。「公の利益と相反する寄付から距離を置くことも、ときとして必要」とMETのダニエル・ワイス館長は説明している。
 METはサックラー家から寄付を受け付けて50年以上になる。METの目玉の1つ、デンドゥール神殿が展示されているのはサックラーウイングだ。1978年の構築の際、費用950万ドル(現在の価値で約40億円)の大部分を同家が負担したという。オピオイド依存症を克服し、昨年3月、同ウイングで抗議運動をした著名写真家ナン・ゴールディンさんは「私たちの声を聞き入れてくれた」と評価。ただし、ワイス館長によるとウイングの名称を変更する予定はないという。

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