陽子線(プロトン)を使ってがんの治療を行う陽子線治療センターが7月、マンハッタン区イーストハーレムの東126丁目にオープンする。陽子線の治療センターがニューヨーク州に開設されるのは初めて。
同センターによると、陽子線治療は、従来の放射線治療とは異なり、腫瘍周辺の正常組織や臓器を損傷することなく安全に照射できるのが利点。正常組織の損傷は、成長の遅れや心臓合併症、続発性がんなど、小児がん患者に長期にわたる問題を引き起こさせる可能性がある。また、放射線が効きにくい腫瘍にも効果があるとされる。
新センターには小児がん患者約200人を含む、年間約1400人の治療が可能な陽子線治療室を4つ備える。院内には医療社会福祉士と患者を栄養面からサポートする栄養士が待機するという。
医療面ではメモリアル・スローン・ケタリングがんセンターとモンテフィオーリ・ヘルス・システム、マウントサイナイ・ヘルス・システムが協力し、州内に複数の病院を展開するプロヘルスが運営。ウォール・ストリート・ジャーナルが今月16日に報じたところによると、開設および運営資金の一部は各医療施設が分担。当初、昨年の開業と費用3億ドル(約330億円)を見込んでいたが、開設が遅れ、費用も3億3000万ドル(約363億円)に膨れ上がる推定だという。