ニューヨーク市の今年1月から3月の都市総生産(GCP)の成長率は3%と、着実な伸びを保った。スコット・ストリンガー会計監査官が20日、発表した報告書で明らかになった。記録的に低い失業率や最低賃金の引き上げが市の好調な経済を後押ししたものの、不動産取引は伸び悩んだ。
報告書によるとGCP成長率は3.5%だった昨年第4四半期から0.5ポイント下げたものの、雇用の拡大が顕著だった。民間企業および機関、政府機関での雇用の伸びは1万8800件の1.6%増。雇用の伸びが最も顕著だったのは、医療および社会扶助の分野で、1.6%増となる1万800件の新たな雇用が創出された。失業率は5四半期連続で低下を続けたが、市で最も失業率が低かったのはクイーンズ区の4%。一方、最も高かったのはブロンクス区で6.2%。ブルックリン区は4.7%、マンハッタン区は4.5%、スタテン島は4.5%だった。
賃金も上昇した。1時間当たりの賃金の平均は昨年同時期の35ドル84セント(約3965円)から4.5%増加し、37ドル43セント(約4141円)。ベンチャー投資も、44億6000万ドル(約4934億円)と記録的な高さだった。
一方で、好景気にもかかわらず支出の伸びはわずか1.2%。金融部門では、昨年第4四半期の1500件に加え、今年度の第1四半期には3100件の雇用が失われた。居住用不動産の販売件数、売上高もマンハッタン、ブルックリン、クイーンズの3区で縮小した。市の経済は、過去20年の間、着実な伸びを見せてきたが、同会計監査官は「将来の経済悪化に備えて準備金を増やすべき」と警告している。