ニューヨーク州議会下院は21日、連邦裁判所で有罪判決を受け大統領が恩赦を与えた人物に対して、同一の罪で州検事局において再度起訴できるようにする州法案を可決した。二重罰則の禁止を定めた州の「ダブルジョパディー法」の適用除外を設けるもの。成立すれば連邦で有罪判決を受け、トランプ大統領から恩赦を受けた側近を再度、同じ罪により州で起訴できるようになる。既に上院を通過しており、アンドリュー・クオモ知事が近く署名する見通し。
同法案により州での再起訴を認めるのは、連邦で有罪判決を受けた後、執行猶予や減刑、恩赦などの措置が認められた人のうち、政権従事者や選挙陣営関係者など大統領に近しい人、大統領の親族、個人的な便宜を図ることと引き換えに恩赦を受けた人など。
全米の20州以上で採用されているダブルジョパディー法では、判決が確定した場合、たとえ連邦裁判所で審理された訴訟であっても同一の犯罪について再度起訴することはできないと定めている。
トランプ大統領は、ロシア疑惑の捜査対象となった元側近に「起訴されても恩赦にする」と持ちかけていた。同法案はトランプ氏を名指ししていないが、連邦下院議会による大統領および側近に対する捜査を、大統領が恩赦を乱用することにより妨害することを防ぐ狙いがある。クオモ知事は以前から同法案への支持を表明しており、昨年8月には「議会可決と同時に署名する」と述べていた。